11月日記(1日〜7日)
11/1
六本木EXシアターにて東京国際映画祭 山中貞雄監督作品『丹下左膳餘話 百万両の壺』
とても面白い。今でも通用するコメディの作り方で、場内爆笑の連続、上映後は拍手喝采に包まれていた。そして、途中で少し挟まれる殺陣のくだりも痺れた。
今まで笑福亭鶴瓶の物真似でしか見たことなかった大河内傳次郎を初見。
(今、iPhoneで「つるべ」と打ったら「鶴瓶」と一発変換された。今では当然のことなんだけど、昔は「つるべ」では変換されなくて、「つるびん」て打ち込んでいたことを思い出した)
シネマカリテにて『メイキング・オブ・モータウン』
この辺の音楽は疎い方だが、創始者ベリー・ゴーディを始めモータウン界隈は個性的な世界だし、輩出したミュージシャンは有名な人も多く、流れる楽曲は、モータウンに詳しくなくても知ってる曲ばかりで眼福耳福。
エンドロールで元社員全員が嫌がる中、嬉々としてダサい社歌を歌うお爺ちゃん二人の微笑ましさ。
11/3
六本木EXシアターにて東京国際映画祭 山中貞雄監督作品『人情紙風船』
タイトルはワードとして何度も聞いていたがようやくの初鑑賞。
浪人夫婦と髪結いの男を主軸とした長屋住人の群像劇。現代に生きる自分にも辛く刺さる、刺さる。
頼った知人に邪険にされ、仕官の道を断たれた寡黙な浪人が最後の酒席で、その知人の失態を聞き、だらしなく笑う場面の悲しさ切なさ。
浪人の首吊り自殺で始まる冒頭シーンとリンクしたやるせない終わり。
よく古いネタとか、で「まさに『人情紙風船』!」という台詞を見聞きしてたけど、喩えとして使われるのもよくわかる、素晴らしい出来。
11/4
TOHOシネマズ六本木にて東京国際映画祭『スレート』
良くも悪くも低予算なインディペンデント映画全開で嫌いじゃない。Q・タランティーノフォロワーなのがよくわかった。
11/5
ヒューマントラストシネマ渋谷にて、ロブ・ゾンビ監督作品!『スリー・フロム・ヘル』
前作のような奇跡的な化学変化はなかったが、70年代風映像は格好良く、キャラクター立てもとても良い。残酷描写も相変わらず際立っていて最高。弁護士の家に押し入るくだりのクレイジーさはキレキレだった。躁状態がグレートアップしたシェリ・ムーン・ゾンビの追っかけっこ→殺戮の流れはキュートささえ感じた。
メキシコに逃亡してからの流れは少し失速した感があったが、死者の日仕様のドクロメイクやオールドタイプなルチャ・リブレマスクの殺し屋軍団とかは如何にもで好き。
この手の作品には良くゲスト出演してる印象のダニー・トレホが、ただの賑やかしではなく、まさか伏線になるとは笑
11/7
TOHOシネマズシャンテにて『ストレイ・ドッグ』
単に刑事ノワールものの主人公を男性→女性に置き換えただけではない、女性故に起きる事柄もしっかりと描かれていて、なかなか面白い。
TOHOシネマズ日比谷にて『羅小黒戦記』
中国武侠アクションをばっちりアニメ描写に落とし込んでてとても興奮した。
一方、ギャグ描写が古めかしくて、これは国としてのお笑い文化の違いなのか?と興味深く感じた。
字幕版でも観たい。再上映してくれないだろうか。
TOHOシネマズ六本木にて東京国際映画祭『皮膚を売った男』
シリア難民問題という重い問題をモチーフにしながら、エンターテイメント映画に仕上がっていてとても吃驚した。面白かった。
冒頭、電車内、彼女との結婚を決意した主人公が喜びのあまり「これは革命だ!」と冗談交じりに叫んだことが原因で投獄され、転落していく。この部分も日本で住んでたら逆立ちしても浮かばない発想だなあ、と妙な感心をしてしまった。シビアでシリアスな現状から生まれる物語。
シリアスな題材をネタにエンタメできてる作品はとても好きです。
あの女性がモニカ・ベルッチだとはクレジットが出るまでわからなかった。
シアターの斜め前の席にどこか見覚えのある後頭部が、、と思ったらライムスター宇多丸さんだった。御自身のラジオで映画祭ディレクターの矢田部さんにオススメされていたのをしっかり観にくるとは、律儀ですね。
とか思いつつ上映終了後、スッと立ち上がった氏の姿は、派手な紫の上下スーツで思わず「ジョーカー?ピンプ?」と心の中で突っ込んだ。