yosak's diary

忘備録と備忘録

12月日記(11日〜12日)

12/11
ヒューマントラストシネマ渋谷にて『ザ・プロム』鑑賞。
glee グリー』のライアン・マーフィが監督なだけに、派手で悪趣味で底意地が悪くて、なのに時に繊細で弱者を対する優しさに溢れてる。
glee グリー』シリーズが好きかどうかで評価は分かれると思うが、個人的には大好きな作品。
主演どころ、メリル・ストリープでこんなに爆笑させられるとは。脇に徹したニコール・キッドマンも素敵、zazzのくだりが最高。ジェームズ・コーデンの17歳の自分にプロムに行ける喜びを伝えるシーンはとても愛おしい。アンドリュー・ラネルズがモールで若者らに歌い説くシーンはアガる。
田舎町の高校の校長先生が、給料を貯金してニューヨークへミュージカルを観に行く回想のくだり。大好きなステージを観て、明日を生きる希望や活力を貰うファンの心情を歌っていてめちゃくちゃいい。
高校生チームも魅力的。エマの純朴さ、フレッシュさがある溌剌とした表情がとても良い。だからその後の悲劇がより悲しく映るし、それを乗り越えようとする勇気がより尊く映る。その他もしっかりと歌い踊ることができる前提で集めたキャストなんだろう、みんなガタイがいい。アリッサ・グリーン役の人とか何かアクション映画とか出てくれないかな。ジョックスが単なる悪者じゃないのも『glee グリー』からの流れで如何にもな感じ。
レズビアンを差別するゴリゴリの保守的PTA会長役がケリー・ワシントンというのも一癖あって皮肉が効いてる。
キャストも要所要所のシーンも最高なのだが、いかんせんテレビシリーズ12話分ぐらいの内容を2時間に凝縮しているので、大味とも言える。先に述べたジョックスチームの心境変化とかgleeを観てたら納得できる展開なのだが、観てない人だと強引に感じるだろう。ラストのPTA会長の心変りも「そんな夢を見た」というオチなのか?と思ってしまうほど急展開ではある。個人的にはテレビシリーズスピンオフとかで、この辺りをじっくり描いて欲しい。
ただ、この作品自体は劇場の大画面、大音量で観た方がより一段と魅力を感じられると思う。Netflixで配信もされているが、劇場で観られるのなら絶対、観た方がいい。とくにヒューマントラスト渋谷の新音響「オデッサ」はとても良かった。ネトフリ配信前提の作品なので音のチャンネルは少ないと思うが、正面からのスピーカーだけでも充分作品に没入できる音だった。

12/12
シネマカリテで『ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者』を鑑賞。
予告編から何となくティーンエイジホラーコメディを想像していたが、大きく裏切られたサイコホラー映画。テイストは違えど『少年は〇〇』や『聖なる〇〇』を想起させる。無理矢理な展開も多いが、なかなか面白い。
宣伝でも「ホラー版『ホーム・アローン』」的なことを言っていたが、劇中にも『ホーム・アローン』のあるシーンをグロくパロディした展開あり。
色々と散々な目に遭うベビーシッター役の女の子と、主人公の親友役の男の子は、シャマラン監督『ヴィジット』での姉弟コンビ。
タイトル『ベター・ウォッチ・アウト』は、恐らくクリスマスソングのクラシック『Santa Claus Is Coming to Town(サンタが街にやってくる)』の出だしのフレーズ「You'd better watch out」からの拝借。「気をつけろ!」みたいな意味らしいのでなかなか気が利いたタイトル。変な邦題を付けずに原題のままでいってくれて良かった。

続けて『エイブのキッチン・ストーリー』を鑑賞。
これも「『ストレンジャー・シングス』に出てた可愛い男の子が色んな料理を作って食べてをする微笑ましい映画かな」と気軽な感じをイメージして観たら、イスラエル系の母方家族とパレスチナ系の父方家族の歴史や文化、政治観、宗教観の違いでの対立でひとり苦悩する料理好き少年(料理とSNSを心の拠り所にしている)の物語、という料理作りとパレスチナ問題を合わせたなかなか骨太な作品だった。これだから映画は油断ならない(嬉しい)
重く複雑な問題をキッチリ娯楽作品に昇華させる手腕は確かなもの。
両家族の仲を取り持とうと、双方のルーツをフュージョンさせた料理を振る舞うパーティを企画し、それが原因で決定的な亀裂が‥、のくだりは本当に切なくて可哀想で胸が痛くなった。お祖父ちゃん「産んだのが間違いだ」は流石にアウトだよ‥。
少年が料理を教わるブラジル人シェフ役のセウ・ジョルジ seu jorge。何処かで見た名前だなと思っていたが、エンドロールの歌声でハッと気がつく。ウェス・アンダーソンの『ライフ・アクアティック』で乗組員だった人だ!劇中で彼の歌うデヴィッド・ボウイのカバー「スターマン」はとても印象的だった。

しかし、今日観た1本目と2本目、どちらも12歳の少年が主役だったけど、こうも違うもんかね。

妻と合流して、3番目。シネマート新宿にてジョージ・クルーニー監督作『ミッドナイト・スカイ』
如何にも彼が好きそうなハードSF作品。見応えはあったが個人的にはあまり刺さらず。しかし、圧倒的な迫力、美しさの宇宙シーンはとても良かった。Netflixオリジナル作品なので配信で観れるのだが、やはりこれは劇場で鑑賞してこそ。大画面、大音量は勿論だが、暗闇と静寂で物語に集中できる環境は映画館でしか得られない。こんな考えは多分、古臭いんだろうけど、やはり観られる限りは劇場に足を運びたいと改めて思った。